日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ斑入り変異抑制におけるメカニズムの解明
*三浦 栄子加藤 裕介松島 良坂本 亘
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p. 393

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抄録
シロイヌナズナ斑入り変異体yellow variegated 1var1)とvar2は、それぞれチラコイド膜に局在するメタロプロテアーゼFtsH5と2の欠損により本葉に斑入りを生じる。FtsH2と5はヘテロ複合体を形成しており、主に光障害を受けたタンパク質の分解に関与している。二重変異体ではアルビノに似た表現型となるため、FtsHは葉緑体発達に必要なタンパク質であるといえる。斑入り変異体は単一遺伝子の欠損であるにも関わらず、葉緑体への分化が異なる緑色と白色の細胞が混在する。この斑入り形成機構を明らかにする目的で、var2のサプレッサー変異体fu-gaeri 1fug1)を単離した。FUG1遺伝子は葉緑体翻訳開始因子cpIF2をコードし、葉緑体タンパク質の合成に関与すること、fug1var2だけでなく、var1、及びvar1/var2の斑入りも抑制すること、さらに、葉緑体翻訳伸長因子Gの欠損(sco1)もvar2のサプレッサーとなることを報告する。これらの結果は、葉緑体におけるタンパク質合成の低下がFtsHの欠損によって起こる葉の斑入りを抑制する事を意味する。葉緑体タンパク質の合成と分解のバランスは斑入りを形成する重要な因子であることを議論したい。
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© 2007 日本植物生理学会
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