日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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斑入り変異体var2に生じる白色セクターは生細胞により構築される
*加藤 裕介三浦 栄子松島 良坂本 亘
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p. 394

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抄録
シロイヌナズナの斑入り変異体var2は、チラコイド膜にあるATP依存型メタロプロテアーゼをコードするFtsH2遺伝子の欠損によって生じる。var2変異体の斑入りでは正常に見える葉緑体をもつ緑色セクターと異常なプラスチドをもつ白色セクターが存在するため斑になるが、白色セクターについてはその役割を含め未解明な点が多い。本研究では白色セクターの生理学的機能を明らかにすることを目的とし、その解析を行なった。白色セクターが生きた細胞であることを確認するため、var2において葉緑体移行型GFPを発現する形質転換体を作製して観察したところ、異常な形態を示すプラスチドでGFPの蛍光が認められた。DNA染色試薬であるDAPI染色では、白色セクターのプラスチドには葉緑体の分化初期に認められる核様体に似た構造が存在していた。白色セクターと緑色セクターにおける遺伝子発現を比較解析したところ、核にコードされた光合成関連遺伝子の発現のみが白色セクターで減少しており、その他の遺伝子の発現に大きな違いは見られなかった。以上の結果から白色セクターは生細胞により構築されていると考えられた。これら解析結果と現在進めているプロテオーム解析の結果を合わせ、白色セクターの生理学的機能について考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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