抄録
空色西洋アサガオ(Ipomoea tricolo r cv. Heavenly Blue)花弁は、ツボミは赤紫色で開花すると青色になる。既に我々はこの変化が液胞pHの上昇によることを明らかにした1, 2)。開花過程で表皮有色細胞の体積は数倍に増大するが、この現象は細胞浸透圧の上昇による水吸収と伴う一種の伸長成長と推定された(2006年会)。しかし、浸透圧変化に寄与する液胞内イオン濃度の経時変化は不明であった。そこで、開花時の細胞体積とイオン濃度変化を分析した。
露地栽培のアサガオ花弁を経時的に採取して、酵素処理により有色プロトプラストを調製した。プロトプラストの数と体積を計測後、細胞内の陽イオンと陰イオンをキャピラリー電気泳動法で分析した。主な陽イオンはK+ で開花24時間前では 約50 mM含まれていたが、12時間前には半減し、その後再び上昇して開花時には約40 mMとなった。Mg2+、Ca2+はいずれも、24時間前では数mMであったものが開花時には1 mM以下に減少した。主な陰イオンはCl-とPO43-でいずれも24時間前では 約10 mMであったが、開花に向けて1/3程度に減少した。リンゴ酸イオンは開花期を通じて一定値(約2 mM)であった。有職細胞の色変化と伸長生長の関係をイオン輸送システムの発現をもとに考察する。
1) K. Yoshida et al. Nature, 373, 291 (1995). 2) K. Yoshida et al. Plant Cell Physiol. 46, 407 (2005).