日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネShaker型K+チャネルOsKAT1の高発現による酵母およびイネ培養細胞の耐塩性の向上
*小幡 年弘北本 宏子中村 敦子福田 篤徳田中 喜之
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p. 418

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抄録
イネの耐塩性機構に関与する新規カチオン輸送体遺伝子を単離する目的で,酵母を用いたイネ完全長cDNAの機能スクリーニングを行い,イネのShaker型K+チャネルであるOsKAT1がNa+ポンプを欠損した塩感受性酵母株(G19, Δena1-4)の塩感受性を相補することを見出した。OsKAT1は内向き整流性K+チャネルの相同タンパク質であり,さらにK+取り込み能が低下した変異酵母株(CY162,Δtrk1-2)の高濃度K+要求性を相補したことから,細胞内へのK+の取り込みを促進することが明らかになった。OsKAT1発現酵母は塩ストレス培養前期において高い細胞内K+含量を示したが,培養後期のK+含量はコントロール株と同等になり,かわりにNa+含量が低下した。一方,イネ培養細胞においてもOsKAT1の高発現により耐塩性が向上し,細胞内K+含量が上昇したが,Na+含量は低下しなかった。酵母およびイネの両細胞においてOsKAT1の発現により細胞内のNa+:K+比が低く保たれたことから,OsKAT1は塩ストレス条件下における細胞内イオンバランスの維持に寄与する可能性が示唆された。OsKat1遺伝子の発現は節間部と枝梗に限られていたが,器官毎に様々なK+チャネルホモログの発現が見られたことから,これらのチャネルが協調して植物体の耐塩性に関与することが考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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