日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シャジクモ類の機械刺激感受性カルシウムチャネルにおける膜伸展の影響
*金子 智之高橋 直哉菊山 宗弘
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p. 421

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抄録
植物はさまざまな機械刺激に応答し、受容器電位を発生する。我々は、受容器電位発生の最初の過程は、機械刺激感受性の Ca2+ チャネルの活性化であることを明らかにした。さらに、このCa2+ チャネルを活性化するものが細胞膜の変形である可能性を示したが、変形よりむしろ膜張力の変化あるいは膜の伸展である可能性を見いだしたので報告する。
節間細胞に高張処理(原形質分離)を行うと、ほとんどの場合活動電位の発生が見られた。これに低張処理(原形質復帰)を行うと、やはり活動電位の発生が見られた。しかし、これに再び高張処理を行っても、膜電位変化はほとんど見られなかった。原形質分離では細胞壁と膜とが離れる際に、原形質復帰では原形質が膨らむときに、それぞれ膜の伸展が起こるはずである。他方、2度目の高張処理では膜の収縮は起こっても伸展は起こらない。このことは、膜の伸張と膜電位変化の間の密接な関係を示唆する。
浸透圧変化と細胞内 Ca2+ 濃度変化の関係について調べた結果、高張処理と低張処理の両方の処理で細胞内 Ca2+ 濃度が上昇するが、それぞれの細胞内 Ca2+ 濃度変化のパターンが異なることを確認した。また、再度高張処理した細胞内 のCa2+ 濃度変化は有意に小さくなった。これらのことは、膜の伸展が機械刺激感受性チャネルの活性化を引き起こす要因であることを示唆している。
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© 2007 日本植物生理学会
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