抄録
Rab5 は,エンドサイトーシス経路で機能し,エンドソームの融合のみならず多様な現象を制御していることが報告されている.このRab5を,GDP型からGTP型へと活性化するRab5グアニンヌクレオチド交換因子(Rab5 GEF)には,Vps9ドメインと呼ばれる活性部位が広く保存されている.シロイヌナズナにおいても,Vps9ドメインを持つAtVps9aが,Rab5ホモログ(Ara6,Ara7,Rha1)の全てを活性化している。この活性化機構をより詳細に解析するため,AtVps9a/Ara7複合体の結晶構造を決定した.その結果,D185,Y225をはじめとするいくつかのアミノ酸が,AtVps9aとの相互作用に関わると予測された.そこで,これらのアミノ酸に変異を導入したAtVps9aを作成しGEF活性の検証を行ったところ,D185やY225に変異を導入したAtVps9aでは,Rab5グループ3つに対するGEF活性が顕著に低下することが確認された.また、C末端側を欠失した変異型AtVps9aは,Ara6に対してのみ特異的に活性が上昇することも明らかとなった.一方,これらの変異型AtVPS9aは,野生型遺伝子同様atvps9a-1変異の胚致死性を一見完全に相補することが出来る.現在,変異型AtVps9aが植物体内でどのように作用するのかを調べるべく,解析中である.