日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光化学系I-Chl a結合部位に結合したZn-Chl aおよびCu-Chl aのアンテナ特性
*大竹 伸也坂田 優笹嶋 由佳池上 勇
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p. 440

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抄録
PS1RC(PsaA/B) complexからエーテル処理によってChl aの大部分を除去し、P700当たり12~14分子のChl aしか含まない標品を調製した。(1)これにPhe a、Zn-Chl a、Cu-Chl aをリン脂質PGと共に加え、これらのChlが結合した標品を得た。(2)Zn-Chl aはChl aと同じく、添加量の約1/3が結合したが、Phe-aは約1/6しか結合しなかった。一方、Cu-Chl aは添加量が少ないとあまり結合せず、多いと結合数は増加した。(3)P700の光酸化初速度を測定したところ、Zn-Chl aではChl aの場合と同様に結合した分子数に比例して光酸化の量子収率は上昇した。一方、Phe aとCu-Chl aでは量子収率の増加は認められなかった。(4)5℃におけるChlケイ光(Fl680)の収率をChlあたりで比較すると、いずれの場合もChl aを結合した場合とほぼ同じであり、結合分子数が増えると減少した。以上の結果から、結合したZn-Chl aはChl aとほぼ同等のアンテナ機能を持つことが示された。一方、中心金属がないとき、およびCuに置き換わったときは、これらの色素はChl a結合部位へ結合できず、その結果、アンテナ機能も回復できないと推定された。
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© 2007 日本植物生理学会
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