日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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乾燥・強光ストレス条件下における葉緑体Rieskeタンパク質の挙動変化
*三田 智子宗景(中島) ゆり吉田 和生明石 欣也横田 明穂
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p. 450

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抄録
乾燥強光ストレス下の植物においては、気孔からのCO2流入が制限されるために炭素固定反応が低下し、電子伝達系の過還元、光合成器官の酸化的ダメージが引き起こされる。このような光障害を回避するための植物の防御機構を解明するために、本研究では乾燥耐性能を持つ野生種スイカを用いて、乾燥強光ストレス下のチラコイド膜タンパク質をプロテオミクスによって解析した。その結果、複数の葉緑体Rieske鉄-硫黄タンパク質が検出され、それらが乾燥強光ストレス前後で異なる挙動を示すことが明らかになった。この挙動の違いを詳細に調べるために抗Rieske抗体を作製し、二次元電気泳動・ウエスタンブロットを行ったところ、非ストレス下において分子量はほぼ同じで等電点の異なる複数のRieskeスポットが確認された。また、乾燥強光ストレス下ではより酸性側に複数のRieskeスポットが出現し、それらのスポットは再潅水によって消失することがわかった。ストレスの前後でスイカ葉の不溶性画分に含まれるRieskeタンパク質蓄積量に変化はみられず、サザンブロットから野生スイカではRieske遺伝子が一つであることが明らかになった。これらの結果から、Rieskeの翻訳後修飾が起こること、またその修飾が乾燥強光ストレスを回避するための未知機能に関連する可能性が考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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