日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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再構成クロロゾームのキャラクタリゼーションおよびクロロゾームの構造解析
*柿谷 吉則長江 裕芳原田 健一小山 泰
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p. 453

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抄録
   緑色硫黄細菌Chlorobium limicolaのアンテナ複合体「クロロゾーム」は、光エネルギーを捉えて、光反応中心に一重項エネルギーを伝達している。クロロゾーム内には「ロッドエレメント」と呼ばれるバクテリオクロロフィル(BChl) cの高次会合体が存在しており、その構造は未だ明らかになっていない。構造決定を行うためには、13C-BChl c12C-BChl cを1:1に混合した再構成クロロゾームを用いて、固体NMR分光による分子間情報の抽出が不可欠である。そこで、当研究室の原田が昨年度の日本植物生理学会で報告した方法でクロロゾームの再構成を行い、多方面から評価を行った。評価には、(1) 形態学的知見を調べる蔗糖密度勾配遠心・ゼータ電位・動的光散乱と電子顕微鏡を,(2) ロッドエレメント中のBChlの配置を調べる固体NMR・電子吸収・円偏向二色性分光と粉末X線回折を,(3) 励起状態のダイナミクスを調べるサブピコ秒時間分解吸収分光を用いた。
   その結果、(1) 再構成クロロゾームは、天然のクロロゾームとよく似た回転楕円体でより長い構造をもつ,(2) ロッドエレメント中の色素の配置は、ほぼクロロゾームと等しい,(3) 励起状態の特性についても、基本的にはクロロゾームと同じであると判断された。
   現在、再構成クロロゾームを用いた構造解析を進めている段階である。
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© 2007 日本植物生理学会
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