日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻の二成分制御系の調節因子Ssl3451の機能解析
*坂寄 輔白岩 善博鈴木 石根
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p. 462

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抄録
ラン藻Synechocystis PCC6803のヒスチジンキナーゼHik33は、低温、酸化ストレスはレスポンスレギュレーターRre26に、塩・高浸透圧ストレスはRre31にシグナルを伝達する極めてユニークなHikである。また、Hik33に特異的に相互作用する新規調節因子Ssl3451が存在することも、他のHikには見られない特徴である。我々は精製タンパク質を用いた生化学的な解析から、Ssl3451はHik33と1:1の量比で相互作用し、Hik33の自己リン酸化を促進すること、in vitroでのリン酸基転移活性の解析、およびin vivoでの遺伝子発現解析から、Ssl3451がHik33からRre31へのシグナル伝達を抑制することを見出した。Ssl3451のホモログは、シアノバクテリアと高等植物のゲノムにのみ特有に保存されている。我々はこれらホモログ中に高度に保存され、かつ極性をもつ3つのアミノ酸に着目し、それぞれをアラニンに置換した改変体タンパク質(K20A, T21A, R29A)を調整した。Ssl3451に比べ改変体K20A、T21A、R29Aは、Hik33の自己リン酸化活性を著しく低下させた。このことから、Ssl3451ホモログは植物細胞においても同様の働きをすると推測された。発表ではSsl3451の生体内での機能について考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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