日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ジャスモン酸シグナル伝達に関わるシロイヌナズナMAPキナーゼカスケードMKK3-MPK6の機能解析
*高橋 史憲吉田 理一郎市村 和也溝口 剛瀬尾 茂美圓山 恭之進篠崎 和子篠崎 一雄
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p. 465

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抄録
MAP kinase cascadeは真核生物に広く保存されているシグナル伝達系の一つであり、高等植物においては環境ストレスや病原菌に対する適応に重要な役割を果たす事が報告されている。我々はMAPKKの一つであるMKK3に着目し、新規MAPキナーゼMKK3-MPK6カスケードを同定し、ジャスモン酸(JA)のシグナル伝達経路に関与する事を示してきた。JAシグナル伝達には、JA特異的経路とエチレン(ET)と協調して働くJA/ET協調的経路が存在する。MKK3とMPK6のloss-of-function、gain-of-functionトランスジェニック植物体を用いて、JA処理時のET蓄積量、下流マーカー遺伝子の発現を検討した。その結果、MKK3-MPK6カスケードはJA特異的経路を負に制御している事が明らかとなった。更にmkk3/atmyc2二重変異体を用いた解析から、AtMYC2がMKK3カスケードの下流で機能することが明らかとなった。この結果は、AtMYC2の発現機構が正と負の相対する制御により調節されていることを示唆する。またein2ein3遺伝子破壊変異体を用いた解析から、MKK3-MPK6カスケードのJAによる遺伝子発現にも内在性ETのシグナル伝達系が必要である事が明らかとなった。JAシグナル伝達におけるMKK3-MPK6カスケードの生理学的機能について考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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