日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナMEKK1は組織特異的かつ温度依存的な細胞死を制御する
*市村 和也Casais CatarinaPeck Scott C.篠崎 一雄白須 賢
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 466

詳細
抄録
植物の病害抵抗性では、MAPキナーゼカスケードが重要な役割を果たしている、と考えられている。シロイヌナズナでは葉肉細胞プロトプラストを用いた一過的発現実験により、MEKK1(MAPKKK)が、PAMPs(pathogen-assiciated molecular patterns)のひとつ、flg22によって誘導されるMAPキナーゼカスケード(MKK4/MKK5-MPK3/MPK6)の上流で機能すると提唱されている。一方、two-hybrid解析などの実験結果から、上記とは別のカスケード(MEKK1-MKK1/MKK2-MPK4)も示されている。flg22はMPK3、MPK4、MPK6のいずれも活性化するが、MEKK1の役割については遺伝学的に検証されていない。
この問題を解決するため、MEKK1のT-DNA挿入変異体を用いて種々の解析を行った。mekk1では、維管束組織特異的、かつ温度依存的に細胞死とH2O2蓄積が見られた。この表現型はRAR1とSID2に部分的に依存していた。MEKK1はflg22によるMPK3とMPK6の活性化に必要ではなく、MPK4の活性化に必須だった。MPK4はサリチル酸を介した防御反応を負に制御することから、MEKK1がMPK4と共にカスケードを構成し、防御反応を負に制御する可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top