日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのストレス応答・細胞質Ca2+動員における膜電位依存性Ca2+チャネル候補OsTPC1の役割
来須 孝光能鹿島 央司杉山 淑美岩崎 洋平濱田 晴康北川 陽一郎*朽津 和幸
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p. 467

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抄録
種々のストレス応答の初期過程において、膜電位変化に伴う細胞外からのCa2+流入がシグナル伝達に重要な役割を果たすと考えられているが、Ca2+動員機構やその分子的実体は、不明な部分が多い。我々は、イネから膜電位依存性Ca2+チャネル候補遺伝子OsTPC1を単離し、過剰発現株や、レトロトランスポゾンの挿入変異による機能破壊株を作成すると共に、細胞質中にCa2+感受性発光タンパク質アポエクオリンを発現させた形質転換培養細胞や植物体を作出し、ルミノメーターや超高感度カメラを用いて、細胞質Ca2+濃度を非破壊計測する簡便な実験系を確立した。感染シグナル、酸化ストレスなど、さまざまな刺激により、特徴的なパターンを示す細胞質Ca2+濃度変化が誘導された。Ostpc1機能破壊株の培養細胞では、タンパク質性の感染シグナル(エリシター)誘導性の細胞死や細胞の褐変化、MAPキナーゼの活性化などが著しく抑制される(Plant J. 2005)。本発表では、Ostpc1機能破壊株及び野生型株において、感染シグナルにより誘導される遺伝子発現の変化をDNAマイクロアレイ法により網羅的に比較すると共に、ストレス誘導性の細胞質Ca2+濃度変化のパターンを比較解析した結果について報告し、ストレス誘導性Ca2+動員や遺伝子発現の制御におけるOsTPC1の役割について議論する。
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© 2007 日本植物生理学会
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