日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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キチンエリシターシグナル伝達を媒介する新規受容体キナーゼ
*宮 彩子Albert Premkumar出崎 能丈市村 和也白須 賢川上 直人賀来 華江渋谷 直人
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p. 468

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抄録
植物は自己と非自己を認識し自らの身を守っている。中でも、キチン、βグルカン断片、LPSなどの微生物固有の分子パターン(PAMPs)認識に基づく防御応答は、いわゆる基礎的抵抗性の重要な要素として注目されている。
我々は最近、イネのキチンエリシター受容体であるCEBiP(Chitin Elicitor Binding Protein)とその遺伝子を単離同定した*。一方、CEBiP自身は細胞内ドメインを持たないため、シグナル伝達を媒介するPartner proteinの存在が示唆された。我々は今回、エリシター応答性の変化を指標として、こうした遺伝子の機能が破壊されたシロイヌナズナ突然変異体の探索を行った。
検討の結果、受容体キナーゼをコードする遺伝子のDNA挿入突然変異体の1つにおいて、キチンエリシター応答性の顕著な変化が認められた。この変異体では、キチンエリシターに対する活性酸素応答が特異的に消失し、また、キチンエリシター処理によるMPK3とMPK6の活性化や防御応答関連遺伝子の活性化もほぼ完全に抑制されていた。マイクロアレイ解析においても、突然変異体では、野生型で発現誘導が見られた遺伝子のほとんどに誘導が見られなかった。これらの結果はこの受容体キナーゼがキチンエリシターシグナル伝達に必須であることを示している。*Kaku et al., PNAS, 103, 11086 (’06)
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© 2007 日本植物生理学会
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