日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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酸化的ストレス下でのシロイヌナズナHsfA2の誘導に関与するシグナル伝達経路の解明
*吉田 絵梨子神野 宏高西澤 彩子藪田 行哲重岡 成
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p. 472

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抄録
これまでに我々は、シロイヌナズナの強光および高温ストレス応答性の熱ショック転写因子 (HsfA2) を同定し、本遺伝子の過剰発現によりHSPやストレス防御に関与する遺伝子の発現が誘導され、その形質転換植物は厳しい酸化ストレスに耐性を示すことを明らかにしてきた (Plant J.,2006) 。さらにH2O2処理によりHsfA2が迅速に誘導されることから、HsfA2は酸化的ストレス応答に重要な制御因子であることが示唆された。
そこで、HsfA2の酸化的ストレス応答に関与する上流のシグナル伝達経路を同定するために、シロイヌナズナ培養細胞T87にタンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミド (CHX) で前処理を行い、H2O2によるHsfA2の誘導への影響について解析した。その結果、CHX処理によってHsfA2の初期応答の遅延が認められ、本遺伝子の酸化的ストレス応答の引き金は、細胞質で新規に合成されるタンパク質が関与することが示唆された。また、T87細胞を用いてプロテアソーム阻害剤 (MG132) 処理によるHsfA2の発現を解析したところ、処理15分後より迅速に誘導されることが明らかとなった。このことから、HsfA2の酸化的ストレス応答にはプロテアソーム経路が関与しているが示唆された。現在、プロテアソームと酸化的ストレスとの関係およびHsfA2の発現制御に関わる因子の探索を行っている。
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© 2007 日本植物生理学会
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