日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ転写コアクチベーター AtMBF1 の光応答シグナル伝達系への関与
*東條 卓人津田 賢一山崎 健一
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p. 473

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抄録
Multiprotein bridging factor 1 (MBF1) は、そのアミノ酸配列が真核生物の間で高度に保存され、転写因子と TATA-box binding proteinの双方を橋渡しすることで標的遺伝子の転写を活性化する転写コアクチベーターとして酵母や動物で報告されている。シロイヌナズナでは MBF1 が 3 種類存在している (AtMBF1a, 1b, 1c, Tsuda et al., 2004)。そのうち AtMBF1cについてはエチレンシグナル伝達系を介してストレス応答に関与していることが示唆されているが (Suzuki et al., 2005)、AtMBF1s に結合するシロイヌナズナのタンパク質は報告されておらず、その分子機構はまだわかっていない。我々はこれまでに AtMBF1s を過剰発現する形質転換シロイヌナズナを作製したが、明瞭な機能の解析には至らなかったことから、 AtMBF1s の転写コアクチベーターとしての機能を改変したキメラ転写コアクチベーターを過剰発現する形質転換シロイヌナズナを作製し、その変化を観察することにより AtMBF1s が関与するシグナル伝達系を同定することを試みた。すると、これらの形質転換植物には、光感受性の異常が見られた。そこで光応答に関して解析したところ、光形態形成の変異体に似た光感受性を示すことが確認され、AtMBF1s が光応答のシグナル伝達に関与することが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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