日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ低温誘導性タンパク質Cor15amの機能解析
*中山 克大大川 久美子柿崎 智博稲葉 丈人
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p. 477

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抄録
寒冷条件下の植物はその生育や代謝が著しく阻害される。種々の生産活動の場である葉緑体もまた、様々な代謝活動が著しく低下し、葉緑体タンパク質の凝集や膜の構造変化・崩壊などが起こる。シロイヌナズナ葉緑体タンパク質Cor15amは植物の低温耐性獲得に関与すると考えられる低温誘導性タンパク質であるが、同タンパク質の生化学的性質ならびに機能は未だ不明である。そこで、我々は生化学的手法を用い、Cor15amの機能解析を行った。生化学的解析により、Cor15amは葉緑体内で複合体を形成しており、ストロマに局在することが示された。また、Cor15amの発現は葉緑体分化に影響されることがわかった。葉緑体ストロマにおける同タンパク質の機能を知るために、凍結融解で容易に失活する乳酸脱水素酵素(LDH)を用いin vitro凍結保護アッセイを行った。その結果、Cor15amは凍結融解によるLDHの失活を防ぐことがわかった。同時に、イムノアフィニティ精製により、Cor15amはLDHと相互作用することも明らかとなった。また、Cor15amはストロマのタンパク質と相互作用している可能性が示唆された。これら結果は、Cor15amが低温条件下において、葉緑体タンパク質と相互作用することによりその機能を保護していることを示唆している。
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© 2007 日本植物生理学会
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