日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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低温誘導性のシロイヌナズナ葉緑体膜タンパク質 AtCor413im の機能解析
*大川 久美子中山 克大柿崎 智博山下 哲郎稲葉 丈人
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p. 478

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抄録
低温ストレス下では葉緑体包膜の構造変化・崩壊が起こり、光合成をはじめとする葉緑体内の様々な代謝活動が著しく低下すると考えられる。低温で発現誘導される遺伝子の一つである COR413IM1 は、その産物が葉緑体膜への局在が予想される機能未知遺伝子で、光や脱水ストレスおよびアブシジン酸によっても転写誘導されることがわかっている。本研究ではシロイヌナズナにおける Cor413im の局在解析およびT-DNA挿入変異株の生理学的解析を行ったので報告する。まず、前駆体タンパク質を in vitro 転写翻訳システムにより合成し、in vitro 葉緑体インポート実験を行った。その結果、Cor413im1 が葉緑体包膜に局在することが明らかになった。さらに Cor413im1-proteinA 融合タンパク質の過剰発現体を用いた解析により、Cor413im1 のトポロジーを明らかにした。また、ゲル濾過クロマトグラフィーおよびイムノアフィニティー精製の結果から、Cor413im1 は高分子複合体を形成する新規葉緑体包膜タンパク質である可能性が示唆された。次に COR413IM1 およびそのホモログ遺伝子である COR413IM2 の T-DNA 挿入変異株を単離し、様々な生理学的解析を行った。その結果、いずれの変異株においても代表的な COR 遺伝子の発現パターンが野生株とは異なることが明らかとなった。現在これら遺伝子破壊株の凍結耐性試験を行っており、それらの結果と併せて Cor413im タンパク質の機能を考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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