日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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耐病性シグナル伝達の負の制御因子OsPti1aを介したシグナル伝達機構の解析
*松井 英譲加星(岸) 光子山崎 宗郎宮尾 安藝雄高橋 章廣近 洋彦
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p. 499

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抄録
OsPti1aはOsRAR1の上流で機能し、R遺伝子による耐病性シグナル伝達を負に制御する新規な因子である。ospti1a変異体の培養細胞はH2O2に対する感受性が高く、野生型よりも低濃度のH2O2で細胞死が誘導されたことから、ospti1a変異体の表現型がROSシグナルの制御機構の欠失により生じていることが推察された(高橋ら、本大会)。OsPti1aを介した耐病性シグナル伝達機構を明らかにするために、two-hybrid法によりOsPti1aに結合する因子PIP1(Ospti1a-interacting protein 1) を単離した。PIP1はAGCキナーゼファミリーに属し、シロイヌナズナのOXI1( oxidative signal inducible 1)と高い相同性を示す。OXI1はROSシグナルを正に制御することから、PIP1はイネにおいてROSシグナル伝達に関与する可能性が考えられる。AGCキナーゼファミリーは真核生物に広く保存されており、PDK1 (3-phosphoinotiside dependent protein kinase1)によって活性を制御されていることが知られている。そこで、two-hybrid法を用いてPIP1とPDK1の相互作用を解析するとともに、in vitroにおけるPDK1からPIP1へのリン酸化によるシグナル伝達を明らかにした。PDK1のTos17挿入変異体についても解析を進めており、以上の結果とあわせて、OsPti1aを介した耐病性シグナル伝達について考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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