日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネにおけるジャスモン酸早期応答性転写因子RERJ1の機能解析
*宮本 皓司岡田 憲典鈴村 孝史大谷 敬桐渕 協子長村 吉晃渋谷 直人野尻 秀昭山根 久和
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p. 506

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抄録
ジャスモン酸(JA)は植物の病害抵抗性発現において二次シグナル物質として働く植物ホルモンである。植物の病害抵抗性発現におけるJAを介したシグナル伝達経路の解明を目指し、イネ培養細胞を用いてJA応答性遺伝子の単離を行ってきた。その過程で、我々はbHLH型転写因子をコードすると考えられるRERJ1をJA早期応答性遺伝子として単離するとともに、RERJ1の過剰発現体を用いたマイクロアレイ解析も行い、RERJ1の標的候補遺伝子についても報告した。今回はRERJ1と標的候補遺伝子との関連を詳細に解析するため、estradiol添加によりRERJ1の発現を制御できる誘導型RERJ1発現株(XS株)を作製した。XS株は1mM estradiol添加後1時間以内にJA処理と同等なRERJ1の転写誘導を示した。現在XS株を用いた発現解析、レポーター・ジーンアッセイにより、RERJ1に直接発現制御を受ける標的遺伝子の解析を進めている。また、GAL4 DNA結合ドメインを保持させたRERJ1をエフェクターとし、GAL4シス配列下流にホタルルシフェラーゼをつないだコンストラクトを用いたレポーター・ジーンアッセイにより、RERJ1が転写活性化能を有することが示された。以上の結果から、RERJ1はJAシグナルによる発現誘導後、下流標的遺伝子の発現を正に制御することで病害抵抗性発現に寄与することが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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