日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのファイトアレキシン生産に関与するジテルペン環化酵素遺伝子OsKS4の発現を制御するbZIP型転写因子の探索
*岡田 敦長村 吉晃岡田 憲典渋谷 直人野尻 秀昭山根 久和
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p. 507

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抄録
我々は、イネの主要なジテルペン型ファイトアレキシンであるモミラクトンの生合成に関与するジテルペン環化酵素遺伝子OsKS4のプロモーター解析を行い、そのエリシター誘導の発現にbZIP型転写因子が関与している可能性を示した。今回は、 OsKS4の発現を直接制御する転写因子を同定する目的で、キチンエリシター処理したイネ培養細胞を用いたマイクロアレイ解析及びqRT-PCRを行った。その結果、2種のbZIP遺伝子(OsTGA1, OsbZIP21)がエリシター応答性を有していることが確認された。また、これら2種のbZIP遺伝子のTos17挿入変異株の内、Ostga1挿入変異株においてOsKS4のエリシター応答性、モミラクトン類の生産の顕著な低下が認められた。さらに、この変異体を用いてマイクロアレイ解析を行った結果、OsKS4を含むテルペノイド生合成に関与する遺伝子の多くがその発現を減少させていた。また、GST融合タンパク質として大腸菌で発現させたOsTGA1を用い、ゲルシフトアッセイを行ったところ、OsKS4上流域に存在するエリシター応答性転写制御領域への結合が認められた。さらに、OsTGA1が転写活性化能を有していることも示された。以上の結果は、OsTGA1がOsKS4の発現を直接制御する転写因子として機能していることを強く示唆している。
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© 2007 日本植物生理学会
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