日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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原始紅藻Cyanidioschyzonにおけるオルガネラ遺伝子発現の網羅的解析
*兼崎 友黒岩 常祥田中 寛
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p. 531

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抄録
植物細胞には核ゲノムの他に葉緑体、ミトコンドリアのゲノムが存在するが、細胞内の物質代謝や光合成を制御するためには、オルガネラゲノムにコードされた遺伝子の発現を協調的かつ時期特異的に調節することが必要である。原始紅藻Cyanidioschyzon merolae(以下、シゾン)は、核、葉緑体、ミトコンドリアの全ゲノム配列が解読されたモデル生物であり、同調培養が可能な上、高等植物に比べ重複遺伝子が少ないことからも網羅的手法を用いた核-オルガネラ間の協調的遺伝子発現解析に適した実験材料である。そこで我々はゲノム情報からオルガネラ遺伝子発現解析用のマイクロアレイを設計し、遺伝子発現プロファイルによる遺伝子機能分類と転写調節領域の推定をおこなった。その結果、特定の細胞内機能に関わる遺伝子群ごとに特異的な発現調節機構が存在する可能性が示唆された。また、オルガネラゲノム上の転写ユニット、及び高等植物の葉緑体にも保存される機能未知遺伝子(ycf)の一部の機能推定をおこなうことができた。シゾンにおける葉緑体遺伝子の発現制御には、核コードの4つのシグマ因子と葉緑体コードの4つの転写因子の関与が予想されているが、これらの因子の発現プロファイルから、核による葉緑体の機能制御ついて考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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