日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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概日時計の周期を決定する時計タンパク質KaiCのATPase
*寺内 一姫北山 陽子西脇 妙子近藤 孝男
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p. 534

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抄録
シアノバクテリアの概日時計は真核生物と同様の概日時計特有の基本性質を保持している。最近、我々はシアノバクテリアの3つの時計タンパク質KaiA、KaiB、KaiCとATPにより、in vitroでKaiCのリン酸化レベルが概日振動することを発見した。この概日時計再構成系を用いて、概日時計がもつ基本性質の分子メカニズムの解明を目指している。KaiCは2つのATP結合モチーフをもち、自己リン酸化活性があることが知られているが、これまでATPase活性は検出されていなかった。今回、概日時計再構成系におけるADP生成量を経時的に測定したところ、KaiCは24時間周期で振動する非常に低いATPase活性をもつことが明らかになった。また、KaiCのATPase活性は概日時計の基本性質のひとつである温度補償性を保持していた。さらにKaiC周期変異タンパク質のATPase活性を測定し周期との関係を解析したところ、概日時計の振動数とKaiCのATPase活性は正比例していた。これらの結果より、KaiCのATPase活性が概日時計の周期を決定づける基本的な化学反応であることが明らかになった。
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© 2007 日本植物生理学会
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