日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの生育における小胞体Jタンパク質の役割の解析
*山本 雅也丸山 大輔遠藤 斗志也西川 周一
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p. 550

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抄録
DnaJファミリーのタンパク質(Jタンパク質)は,Hsp70の機能を制御するパートナータンパク質の一つである.出芽酵母小胞体には,Scj1p,Jem1p,Sec63pというJタンパク質が存在し,小胞体Hsp70(BiP)のパートナーとして機能している.変異株を用いた解析より,小胞体膜透過ではSec63p,小胞体品質管理機構ではScj1pとJem1pというように異なるJタンパク質が異なる過程でBiPの機能を制御することが明らかとなっている.
われわれは,シロイヌナズナゲノム上に存在する出芽酵母小胞体Jタンパク質と相同性の高い遺伝子(AtSCJ1AAtSCJ1BAtJEM1AtSEC63AAtSEC63B)を見いだした.細胞分画法により,これらJタンパク質が小胞体に局在することを確認した.これら小胞体Jタンパク質の解析を行なうことで,シロイヌナズナの生育におけるBiPの様々な役割を分けて明らかにできると考え,T-DNA挿入変異株を用いた解析を行なった.AtSEC63A遺伝子の破壊は致死となり,生育に必須であることが示された.一方,AtSEC63A以外の遺伝子の破壊株は,致死とはならなかったが,AtSCJ1B遺伝子破壊株ではAtSCJ1A遺伝子とAtJEM1遺伝子の発現が上昇していること,AtJEM1遺伝子破壊株ではAtSCJ1A遺伝子の発現が上昇していることが示された.おそらく,これら小胞体Jタンパク質の機能は互いに一部重複するものと考えられる.また,AtSCJ1B遺伝子の破壊株は高温で生育させると不稔性を示すことを見いだした.
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© 2007 日本植物生理学会
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