日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

部位特異的架橋法を用いて行う葉緑体蛋白質輸送装置と前駆体蛋白質との相互作用の解析
*井上 仁志秋田 充
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 557

詳細
抄録
高等植物葉緑体に局在する多くの蛋白質は核ゲノムにコードされている。これらの大部分は葉緑体移行シグナルとしてトランジットペプチド(TP)をアミノ末端にもつ前駆体蛋白質として細胞質で合成され、葉緑体の外・内包膜に存在する蛋白質輸送装置、Toc、Tic複合体を通って葉緑体内へ輸送される。蛋白質輸送はmMオーダーのATPの存在下で包膜を透過するが、蛋白質輸送を駆動するエネルギーを制限することで、前駆体蛋白質は初期段階において葉緑体と不可逆な結合(Binding)、すなわち初期膜透過中間体を形成する。我々は前駆体蛋白質の蛋白質輸送装置への到達度を解析することにより、初期膜透過中間体がエネルギーと温度に依存して少なくとも3段階に分けられることを明らかにしてきた。
そこで、本研究では前駆体蛋白質と蛋白質輸送装置との相互作用を解明するために以下のような方法で部位特異的架橋実験を行っている。TPの様々な位置にシステイン残基を一個だけ持つ一群の変異型前駆体蛋白質を構築し大腸菌で過剰発現した後、リコンビナント前駆体蛋白質をSH特異的架橋剤で修飾する。これらの前駆体蛋白質を用い、異なる条件下で中間体を形成させ、架橋反応を行う。これまでにいくつかの架橋複合体が観察されており、現在これらの架橋産物の解析を行っている。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top