日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの根の接触屈性はエチレンで調節されている
*山本 千草坂田 洋一太治 輝昭田中 重雄
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p. 577

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抄録
植物の根は、土壌の硬さや石などの接触刺激を感知してよりよい環境を求めて成長する。障害物を避けて屈曲する現象は、接触屈性として知られているが、その応答機構については不明である。これまでに我々は、シロイヌナズナの根の接触屈性検定法である二層法(上層培地: 0.3% phytagel, 下層培地: 0.2-0.5% phytagel)を開発し、エチレン合成酵素阻害剤やエチレンの前駆体、またエチレン応答変異体を用いて、接触屈性にエチレンが関与することを報告した。
本研究では、下層培地の硬さに応答して曲がる根(屈曲型)と下層に貫入する根(貫入型)と、エチレン生合成との関連を検討した。エチレン合成量は、屈曲する根で減少し、屈曲型の割合の増加と逆相関を示した。また、エチレン生成の鍵酵素である9 種類の ACC 合成酵素 (ACS) の遺伝子発現を qRT-PCR で調べた結果、ACS7 は屈曲型で減少し、ACS4, 9, 11 は屈曲型と貫入型の両タイプにおいて遺伝子発現が上昇した。興味深いことに、ACS4, 7, 9 は培地の硬さに応じて発現量が変化した。さらに根の硬さについては、屈曲型で根の硬さが減少し、逆に貫入型で根の硬さが上昇することが判明した。以上の結果は、接触刺激を受けた根が、ACS 遺伝子の発現量とエチレン合成量を増減してその硬さを変化させ、屈曲応答することを示唆する。
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© 2007 日本植物生理学会
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