日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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重力方向変化が細胞質Ca2+上昇を引き起こす
*豊田 正嗣古市 卓也辰巳 仁史曽我部 正博
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p. 579

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抄録
多くの高等植物は重力方向を感受し、成長方向を制御する重力屈性反応を示す。重力感受過程において重力方向の変化(重力刺激)は細胞内シグナルに変換されると想定されるが、その機構やシグナル分子の大部分は未知である。そこで細胞内セカンドメッセンジャーとして幅広く機能するCa2+に着目し、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)幼植物における重力刺激応答性細胞質Ca2+濃度([Ca2+]c)変化の測定と解析を通してその分子機構を探った。Ca2+レポータータンパク質であるエクオリンを導入したシロイヌナズナ個体を重力方向に対して180度回転させると、一過的に[Ca2+]cが上昇することが見出された。この[Ca2+]c上昇は機械刺激受容(MS)チャネルの阻害剤(Gd3+, La3+)、細胞内Ca2+ストア阻害剤(ruthenium red)およびCa2+キレーター(BAPTA)で処理すると抑制された。よって、重力刺激は細胞膜上のMSチャネルを介したCa2+流入および細胞内ストアからのCa2+放出を引き起こすと考えられる。またこの[Ca2+]c上昇はアクチン脱重合剤(latrunculin B, cytochalasin B)で一部抑制されることから、これらチャネルの活性化にアクチンフィラメントが部分的に関与することが示唆された。
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© 2007 日本植物生理学会
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