日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネにおけるOsPMP3遺伝子群の発現解析および過剰発現による耐塩性強化
*三屋 史朗大谷 基泰島田 多喜子三宅 博高倍 鉄子
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p. 587

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抄録
植物が塩にさらされると、塩が体内に吸収・蓄積して障害が引き起こされる。我々はこれまでにシロイヌナズナの膜タンパク質RCI2Aが植物の塩の吸収抑制に関与し、耐塩性に重要であることを見いだした。本稿では、イネの耐塩性強化を目的として、イネにおけるRCI2A遺伝子と相同的なOsPMP3遺伝子群を単離し、塩ストレス下におけるOsPMP3遺伝子群の発現様式を調べた。さらにOsPMP3過剰発現イネの塩ストレス応答を調べた。その結果、イネゲノムには少なくとも7つのOsPMP3遺伝子が存在することが分かった。そのうち3つのOsPMP3遺伝子の発現量が塩により増加した。塩誘導性のOsPMP3遺伝子は葉肉細胞と側部根冠において発現が見られた。また、OsPMP3-3過剰発現イネを3ライン作出したところ、塩処理区において、野生株と比べて地上部のNa+含量が減少し、耐塩性が向上した。
以上より、塩ストレス下のイネにおいてOsPMP3は、葉肉細胞や側部根冠において発現が増加して植物体内への塩の流入を制限することによりイオン恒常性を維持し、耐塩性に貢献すると考えられた。
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© 2007 日本植物生理学会
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