日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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TEIL遺伝子発現抑制タバコの腰折病菌に対する感受性の増加.
*日比 忠晴小杉 俊一川田 元滋瀬尾 茂美光原 一朗大橋 祐子
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p. 591

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抄録
タバコEIN3ホモログTEIL (Tobacco EIN3-like)は,タバコ酸性PR1遺伝子のプロモーター領域に特異的に結合する因子として単離された.TEILEIN3とアミノ酸配列上60%の相同性を持ち、転写活性化能を有し、特異的な配列(TEIL binding sites: tebs)に結合する(Kosugi and Ohashi, 2000). Wtタバコでは試験した全ての器官でTEIL遺伝子の恒常的な発現が認められ,傷害葉では傷害誘導性basic PR遺伝子に先立つ発現誘導がおこる.TEIL遺伝子とその相同遺伝子の傷害による発現を,RT-PCR法により経時的に解析した結果,これらの遺伝子間で差異が認められた.TEIL過剰発現タバコおよび抑制タバコの解析から,TEILはbasic PR遺伝子の正の調節因子であることが示唆され,老化,トリプルレスポンス,花器形態形成への関与が示唆された.今回は、TEIL遺伝子の病傷害における機能を検討するため、病原糸状菌であるタバコ腰折病菌(R.solani)を幼植物に接種したところ,抑制体で顕著な感受性の増加が認められた.現在過剰発現体における抵抗性の変化を検討している.また,傷害葉からのエチレン放出量を解析したところ,抑制体ではエチレン放出量がWtタバコと異なっていた.これらの結果は,TEIL遺伝子が関連するシグナル伝達がタバコの病害応答,傷害応答において一定の役割を担っていることを示唆する.
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© 2007 日本植物生理学会
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