日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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HPLCによるサンゴ類の植物色素の分析
*太期 一弘中野 義勝鈴木 款塩井 祐三
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p. 604

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抄録
サンゴ類に共生する褐虫藻(渦鞭毛藻)については二次共生藻についての詳細な検討がなされていない.褐虫藻の二次共生藻について検討する目的で,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による色素分析を行ったところ,渦鞭毛藻による色素以外に,附着性と思われる多種多様な藻類の色素が存在することが分かった.本講演では,サンゴ類に生育する藻類の多様性について色素分析の結果を基に報告する.沖縄県の瀬底ビーチでサンプリングした各種サンゴから色素を抽出した後,HPLC を用いて色素を分離し,フォトダイオードアレイによる検出・解析を行った.カラムはWaters Symmetry C8を用い,色素はメタノール・アセトニトリル・0.25 M ピリジン・アセトン混液による二液グラジエント溶出で分離した.10数種のサンゴを分析した結果,褐虫藻の標識色素以外に,シアノバクテリア由来のchlorophyll d が検出されたのをはじめ,chlorophyll b, chlorophyll c1やzeaxanthin,luteinといった色素も検出され,サンゴによって存在する色素組成に違いが見られた.標識色素に基づいて,シアノバクテリア類,緑藻,珪藻などサンゴには実に多くの種類の藻類が生育していることが明らかになった.これらはサンゴに共生している褐虫藻によるものだけではなく,附着藻 および潜行藻によるものと思われる.
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© 2007 日本植物生理学会
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