日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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分光電気化学的手法による光化学系II反応中心機能分子シトクロムb559の酸化還元電位計測
*芝本 匡雄黒岩 善徳加藤 祐樹渡辺 正
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p. 611

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抄録
光化学系(PS)II中に含まれる機能分子シトクロム(cyt)b559 は、PS IIを過剰な光エネルギーによる損傷から保護しているのではないかと考えられているが、実際にはどのような機能を有しているのか明らかになっていない。一般にbタイプのcytは、+0 ~ 100 mV vs. SHE付近に酸化還元電位を示すが、cyt b559では+400 mV vs. SHE付近に酸化還元電位を示す場合もあることが酸化還元滴定法を用いた測定で報告されており、cyt b559の酸化還元特性についても完全に明らかにされていない。
そこで本研究では、当研究室で確立してきた分光電気化学的手法を適用することで、cyt b559の酸化還元特性を詳細に検討することを目的とし、まずホウレン草から分画した光化学系II反応中心D1/D2/cyt b559複合体中のcyt b559の酸化還元特性を調べることを試みた。
結果、D1/D2/cyt b559複合体中のcyt b559の酸化還元電位は+89.5 ± 3.0 mV vs. SHE(n = 3)であり、+0 ~ +400 mV vs. SHEの電位領域ではこの電位でのみ1電子酸化還元することが明らかになった。発表では、測定した酸化還元電位からcyt b559の機能について考察する予定である。
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© 2007 日本植物生理学会
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