抄録
数多くのサブユニットとコファクターから構成される光化学系I (PSI) 複合体のアセンブリーの分子機構はほとんど明らかにされていない。葉緑体チラコイド膜に存在する約20kDaのYcf3とYcf4タンパクは、葉緑体遺伝子にコードされ、PSI複合体の分子集合に必須である。本研究ではPSI複合体の分子集合が部分的に影響を受けた株を単離するため、緑藻クラミドモナスのYcf4のN末端側のアミノ酸を、2から9残基欠損させた部位特異的突然変異体を作製した。7残基欠損株でYcf4および PsaAの蓄積量と、PAMで測定したPSI活性は著しく減少した。8残基欠損株では、PSIのタンパクと活性はほとんど検出できなかった。次に、各変異体からPSI複合体をショ糖密度勾配超遠心で分離したところ、7残基欠損株では分子集合が不完全と考えられる複合体が微量検出された。一方、ycf3とycf4遺伝子をそれぞれ、もしくは同時に欠損させた変異株からは、7残基欠損株の場合より少量の、分子集合が不完全と考えられるPSI複合体が分離した。以上の結果から、Ycf3とYcf4のPSI複合体の分子集合の初期過程における役割について議論する。