日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Synechocystis sp. PCC 6803における可溶性NAD(P)H酸化酵素の役割
*渡辺 麻衣Nasrin Zannatul小池 裕幸菓子野 康浩佐藤 和彦
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p. 625

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抄録
ラン色細菌は、高い環状電子伝達活性を持つ。そこには、多くの経路が関与していることが示唆されているが、その正確な経路はまだ解明されていない。NAD(P)H-Quinone Oxidoreductase (NQR)は、NAD(P)H酸化活性を持つタンパク質の一つであり、Synechocystis sp. PCC 6803では薬物耐性遺伝子(drgA)産物とされている。しかし、この遺伝子が失活することで薬物耐性を示すため、その本当の働きは完全にはわかっていない。
我々は、NQRがNAD(P)H酸化活性を持つことから、環状電子伝達系に関与していると考え、野生型(WT)と、drgA遺伝子(slr1719)の失活突然変異体(MT)を比較し、NQRの機能を調べた。
強光培養条件では、MTの成長速度がWTの半分になり、吸収スペクトル、低温での蛍光スペクトルに差がみられた。細胞抽出液のNAD(P)H酸化活性を測定したところ、NAD(P)H酸化活性の大部分はNQRによることがわかった。また、dinosebがNQRに特異的な電子受容体であり、それに効く阻害剤も同定できた。NAD(P)H酸化活性、阻害剤の効果は、使用する電子受容体に依存していた。NQRが実際にP700に電子を渡しているのかを、cell-free系で測定できる系を開発した。その成果についても報告する。
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© 2007 日本植物生理学会
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