日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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インゲン葉の一部を低CO2、高CO2処理したときの個体内の各葉の光合成への影響
*新谷 考央野口 航寺島 一郎
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p. 646

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抄録
葉の光合成や老化は、その葉自身の光環境と個体全体の光環境の両方の影響を受けている(Weaverら2001)。したがって、植物個体内の個葉間で、環境の情報が何らかのシグナルを介して伝わっている可能性が高い。しかし、ある葉の環境が他の葉の光合成・老化に与える影響には不明な点が多い。本研究では、インゲンの初生葉周辺のCO2濃度のみを制御できるシステムを構築し、栽培17日目から初生葉周辺のCO2濃度を150、400、1000 ppmで処理し、その後の初生葉と第一複葉の光合成速度の変化を調べた。
1000 ppmで処理した初生葉の360 ppm CO2での光合成速度(A360)は、400 ppmで処理した初生葉と比較して速く減少し、150 ppmで処理した初生葉のA360は、ゆるやかに減少した。第一複葉のA360は、1000 ppmで処理した個体では低く、150 ppmで処理した個体では高かった。この第一複葉のA360の処理間での差は処理期間と共に小さくなった。以上の結果は、初生葉周辺のCO2環境が初生葉や第一複葉の光合成能力に影響を及ぼすことを示している。さらに、個葉間のシグナル伝達に関与している可能性がある炭水化物量を測定し、個葉間の情報伝達における炭水化物の役割についても考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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