日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの葉および懸濁培養細胞からの一酸化窒素発生
*大脇 良成川岸 万紀子若狭 暁菊地 直米山 忠克藤原 伸介Kaiser Werner M.
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p. 665

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抄録
一酸化窒素は、動物では重要なシグナル伝達物質として知られているが、植物における発生経路および機能は十分明らかになっていない。本研究では、イネ個体および培養細胞からの一酸化窒素発生を化学発光法により測定し、一酸化窒素発生に及ぼす窒素源および気相中の酸素濃度の影響について検討した。大気気流中におけるイネの葉からの一酸化窒素発生は、硝酸を窒素源とした場合、暗条件では低く明条件で増加した。暗条件における葉からの一酸化窒素発生は、窒素気流中で大きく増加し、大気気流中の100倍程度に達した。一方、アンモニアを窒素源として生育したイネの葉からの一酸化窒素発生は、光や嫌気的条件によって促進されず低いレベルであった。硝酸を主な窒素源として生育したイネ懸濁培養細胞では、培地に亜硝酸を添加することにより一酸化窒素の発生が促進された。亜硝酸添加による一酸化窒素の発生は、葉と同様に窒素気流中で大きく増加した。アミノ酸を窒素源として生育した懸濁培養細胞では、硝酸を窒素源とした細胞よりも低いレベルではあるが、嫌気的条件により一酸化窒素発生が増加した。これらの結果から、イネの葉および培養細胞における一酸化窒素の生成経路について考察する。
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© 2007 日本植物生理学会
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