日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アカウキクサAzolla pinnataにおける根の脱離現象へのポリアミンの関与
*有田 奈央Gurung Sushma山崎 秀雄
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p. 666

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抄録
ポリアミン(PAs)は多くの生物に存在する低分子脂肪族アミン類である。植物細胞でも高濃度で存在することが報告されているが、その機能は不明なことが多い。本研究では、アカウキクサにおけるポリアミンの新しい生理的作用を報告する。アカウキクサは熱帯及び温帯に生息する水生シダ植物である。生息環境が悪化すると根を脱離し避難する特徴を有する。代表的な3種のPAsとして、プトレシン(Put)、スペルミジン(Spd)、スペルミン(Spm)を用いて、根脱離に対するPAsの効果を検討した。その結果、Spd及びSpmに急速な離脱を誘発する作用があることが明らかとなった。Spmの一酸化窒素(NO)結合化合物であるspermine-NONOateを添加した場合、PAs単独よりも更に速い脱離が見られた。NO酸化物である亜硝酸も同様の現象を引き起こすことから、アカウキクサの根の脱離現象にPAs誘導性の活性窒素生成が関与していることが考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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