日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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スギの雄花および花粉形成に対する温度の影響
*福井 充枝Yeung Edward
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p. 681

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抄録
植物の生殖器官の形態形成は、内因性および外因性環境要因により制御されている。スギ雄花は、長日・恒温(25℃)条件下では形態形成の遅滞を示し、BクラスMADS box遺伝子ホモログおよびアレルゲン遺伝子の発現様式が変化する。今回は、生育温度の変化が雄花および花粉の形成過程にどのような影響を与えるかを検討した。2年生スギ挿し木苗に雄花誘導のためのジベレリン処理を7月中旬に施し、ファイトトロンにおいて自然日長・高温(明期30℃・暗期25℃)条件で育成した。ジベレリン処理後7週目に、挿し木の一部を自然日長・低温(明期20℃・暗期15℃)条件に移し、さらに6週間後に、その一部を野外に移した。一方、ジベレリン処理後、野外に植栽し続けたコントロールでは、10週目に胞子形成細胞が分化した後、13週目には小胞子の形成が観察され、34週目には花粉が飛散した。高温条件下の雄花では発育が遅れ、13週目に胞子形成細胞、16週目に花粉母細胞、19週目に減数分裂の各過程と小胞子の形成が観察されたが、25週目には核が消失し小胞子が崩壊しつつあった。低温条件に移した雄花では、コントロールと同様の発育段階を示した。低温条件から野外に移したものについては、コントロールと同時期に花粉が飛散した。スギ雄花の発育遅滞と回復について、関連遺伝子の発現様式の変化と併せて報告する。
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© 2007 日本植物生理学会
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