抄録
揮発性物質によるアレロパシー作用を検定するディッシュパック法(DP法)を用いて、外来植物のアレロパシー活性を検定した。DP法は、組織培養用6穴マルチディッシュの端の穴に植物体2gを裁断して入れ、その他の穴にはろ紙を敷き、レタス種子を7粒入れ、蒸留水0.7mlを加えた。容器を密封し、25℃暗黒条件で4日後に幼根長、下胚軸長を測定した。ディッシュ内の空気を、シリコンゴムセプタムを介してガスタイトシリンジで採取し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)で揮発性物質の種類と濃度を分析した。
この方法で、新たに導入する外来植物から放出される物質による作用を検定した。各種植物から放出される揮発性成分を直接採取してGC-MSにて同定した結果、ケシ科、マメ科の草花は、青葉アルコール、青葉アルデヒド等のC6カルボニル化合物を主成分として含み、揮発性物質による阻害作用が強かった。これに対し、キク科、シソ科の草花はテルペン系化合物を放出するが、植物阻害活性は弱い。クレオメ類(Cleome spinosa, C. hasslerana, C. speciosa,セイヨウフウチョウソウ、フウチョウソウ科)は最強の活性を示し、その作用物質はメチルイソチオシアネート(Methyl isothiocyanate, MITC)であった。新たに導入したクレオメ類のディッシュパック法による検定とMITC量を測定した。