日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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微量植物試料からの主要ホルモン高速定量技術の確立とその利用
*牧野 美紀子上田 七重武井 兼太郎小松 広和丹治 範文鈴木 孝治榊原 均
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p. 731

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抄録
植物の発生から栄養生長、花芽分化から種子形成にいたる様々な局面で植物ホルモンは情報分子として極めて重要な役割を演じている。個々のホルモンは各々の情報伝達系を介し遺伝子発現を制御するとともに、他のホルモンとの量的バランスによる相互制御により多様な作用を可能にしている。ここ数年主要ホルモンの生合成や情報伝達に関わる重要遺伝子が同定されたが、それらの機能や種々の変異体の表現型を生理学的に説明するには実際の組織中に存在する複数のホルモン分子種含量を知ることが重要である。我々は半自動固相抽出法と液体クロマトグラフィー質量分析技術を利用することで、活性型分子種を含むサイトカイニン19種、IAAとそのアミノ酸縮合体を含むオーキシン7種、アブシジン酸、そしてジベレリン7種の計34分子種を同じ植物試料から測定する方法を確立した。この方法を用いることで10 mg ~ 100 mg新鮮重量組織から同時に96サンプルの抽出・測定ができ、一連の変異体コレクションなどのホルモンプロファイリングも可能になった。この技術を利用して解析を行ったイネ完全長cDNAをシロイヌナズナで過剰発現させたFOXラインのうち、形態異常を示したラインのホルモンプロファイリングの結果についても紹介する予定である。本研究は科学技術振興調整費「イネ完全長cDNAによる有用形質高速探索」の支援によって行われている研究である。
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© 2007 日本植物生理学会
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