抄録
ジベレリン受容体遺伝子(AtGID1s)はシロイヌナズナのゲノム上には3種類存在している。これまでに我々は、これら3種類の遺伝子産物がジベレリンに結合すること、並びにイネ・ジベレリン受容体変異株内でいずれを高発現させても形質がほぼ正常に戻ることから受容体として機能することを明らかにしている。シロイヌナズナにおける3種類のジベレリン受容体遺伝子の役割について明らかにすべく、シロイヌナズナノックアウト変異体の解析を行った。
変異体データーベース(RIKEN;http://www.brc.riken.go.jp/lab/epd/、ABRC; http://www.Arabidopsis.org/)を用いて、AtGID1s遺伝子へのDsあるいはT-DNA挿入変異体を検索し、これら挿入変異体のホモ系統を樹立しRT-PCRでAtGID1s遺伝子の発現を調べたところ、いずれの挿入変異体(atgid1a,atgid1b,atgid1c)も目的とする遺伝子破壊株(KO株)であった。これら1遺伝子KO株に正常株との明瞭な差が認められなかったことから、AtGID1a、AtGID1b、およびAtGID1cは機能重複していると考えられた。各KO株同士の交配により3種類の二重破壊株(atgid1ab,atgid1bc,atgid1ac)を樹立した。現在、発芽の効率・茎部の伸長速度・開花時期・花の形態・稔実の効率など種々の観点から3種の二重破壊株の比較を行っている。また、全てのAtGID1s遺伝子を破壊した三重変異株(atgid1abc)の取得も視野に置き検討しており、発表ではその結果も合わせて報告する。