日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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カンペスタノールを経由しないブラシノステロイド新規生合成経路の解明
*大西 利幸Bancos Simona渡辺 文太藤岡 昭三横田 孝雄坂田 完三Szekeres Miklos水谷 正治
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p. 733

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抄録
カンペスタノールからブラシノライドに至るブラシノステロイド (BR) 生合成経路の多くの酸化反応はシトクロムP450 (P450) 酵素により触媒されることが示されている。1996年、シロイヌナズナのBR欠損突然変異体constitutive photomorphogenesis and dwarfism (cpd) が単離され、CPD遺伝子がCYP90A1をコードしていることが明らかになった。またBR生合成中間体投与によるcpdの表現型回復実験の結果、CYP90A1がC-23位水酸化酵素であると報告された。しかし、CYP90A1についての生化学的証明はなされていない。昨年度の本大会で我々はシロイヌナズナCYP90C1およびCYP90D1がC-23位水酸化酵素であることを酵素学的解析により明らかにした。
今回、CYP90A1の機能を生化学的に証明するために、CYP90A1の酵素化学的解析を行った。バキュロウィルス-昆虫細胞発現系を用いてCYP90A1を発現させ、酵素活性実験を行った。その結果、CYP90A1はC-23位水酸化酵素ではなく、C-3位酸化/異性化酵素であることを明らかにした。またcpd突然変異株の内生BR量の分析およびBR生合成中間体の投与による表現型回復実験の結果から、カンペスタノールを経由しないBR新規生合成経路の存在を明らかにした。
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© 2007 日本植物生理学会
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