日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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新規ploidy変異株increased level of polyploidy4-D(ilp4-D)の解析
*原 博子吉積 毅津本 裕子市川 尚斉島田 浩章松井 南
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p. 744

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抄録
エンドリデュプリケーションは、M期での有糸分裂が起こらず、ゲノムDNAの含量が増大していく特殊な細胞周期である。高等植物では、エンドリデュプリケーションによるDNA含量の増大に伴った細胞の体積の増加が観察されており、植物の形態形成に関与することが示されている。しかし、エンドリデュプリケーションの分子メカニズムは明らかではない。そこで、これを明らかにするために、エンドリデュプリケーションに関与する遺伝子の単離を試みた。シロイヌナズナのアクチベーションタグラインから核DNA含量が増大する変異体increased level of polyploidy4-D (ilp4-D)変異体を用い、この原因遺伝子の解析を行った。その結果、ilp4-D変異体の原因遺伝子はプロテインキナーゼをコードしていることが分かった。GUSレポーター遺伝子を用いてILP4遺伝子の発現部位の解析を行ったところ、この遺伝子は根や子葉、胚軸で組織特異的に発現することが分かった。次に、ILP4遺伝子のT-DNA挿入変異体の解析を行った。しかし、変異体では核相の減少が認められなかった。シロイヌナズナのILP4遺伝子には2つホモログが存在したため、ILP4遺伝子のホモログの1つであるILP4L1遺伝子とILP4遺伝子の二重変異体を作製したところ、この変異体では核相の減少が認められた。以上のことから、ILP4及びILP4L1はエンドサイクルを促進し、核DNA含量の増加に関与することを明らかにした。
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© 2007 日本植物生理学会
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