日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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生理機能の異なる2種類の植物グアニル酸キナーゼについて
*杉本 広樹楠見 健介野口 航矢野 昌裕吉村 淳射場 厚
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p. 747

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抄録
グアニル酸キナーゼ (Gmk) はグアニンヌクレオチドの生合成経路におけるキーエンザイムであり、(d)GMP から (d)GDP へのリン酸化反応を触媒する。また、Gmkはグアニンヌクレオチドの供給を通して、さまざまなシグナル伝達経路の制御に重要な働きをする。これらの知見は細菌や動物細胞から得られたものであり、高等植物における Gmk の機能はほとんど知られていない。イネ葉緑体形成不全変異株 virescent 2 (v2) は葉緑体分化が阻害されるため、クロロシス(葉の白化)を引き起こす。我々はV2 遺伝子がこれまで報告例のないミトコンドリア局在型の Gmk (mGmk) をコードしていることを明らかにした。イネにはもう一つのGmk (OGK1)が存在しており、OGK1は細菌や動物細胞で知られているタイプの細胞質局在型のGmkであることを明らかにした。また、アラビドプシスのGmk変異株の解析からもイネと同様の結果が得られており、このことから、mGmk は葉緑体分化に特異的に機能する新しいタイプのGmkであることが明らかとなった。
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© 2007 日本植物生理学会
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