日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

シロイヌナズナcrl変異体の気孔と表皮にはプラスチドが検出できない細胞が存在する
*吉岡 泰陳 玉玲浅野 智哉藤原 誠吉田 茂男町田 泰則
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 753

詳細
抄録
シロイヌナズナのcrumpled leaf (crl)変異体ではプラスチドの分裂が阻害されると共に、胚を含み植物全体の形態に異常が観察される。crl変異体の胚がクロロフィルをもたないプラスチドを含む細胞を多数含むこと等から、我々はcrlの胚の形態が異常となるのは、クロロフィルをもたないプラスチドが多数胚に存在するためではないかと考えている。今回、我々はプラスチド局在YFPタンパク質を発現しているcrl変異体を用いて、crlの葉にクロロフィルをもたないプラスチドを含む細胞が存在するのかどうかを検討した。その結果、crlの葉にはクロロフィルを持たないプラスチドと葉緑体とが共存する葉肉細胞が約27%存在したが、クロロフィルを持たないプラスチドのみを含む葉肉細胞は検出されなかった。一方、crlの葉にはクロロフィルを持たないプラスチドのみを含む孔辺細胞が約30%、プラスチドを検出できない孔辺細胞が約14%存在した。また、プラスチドが検出できない表皮細胞が約18%存在した。以上の結果から、crlの葉の形態が異常を示すのはクロロフィルを持たないプラスチドを含む葉肉細胞が存在するためではなく、プラスチドが検出できない表皮細胞が存在するためか、あるいは、葉の発生に必要な何らかの葉緑体機能がcrlの葉緑体では低下しているためではないかと考えられた。
著者関連情報
© 2007 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top