抄録
プラスチドは内膜構造の未発達なプロプラスチドから色素や機能の違いによりクロロプラストやエチオプラストに分化し、光合成・デンプン蓄積・カロテノイド蓄積など様々な機能を持ち非常に重要な役割を果たしている。そこで私達はプラスチド間の分化機構に関与するタンパク質の機能を解明することを目的として、シロイヌナズナの各プラスチドとトマト(マイクロトム)のクロモプラストの単離からタンパク質の同定までの方法を確立したので報告する。本研究の特徴は連続密度勾配遠心分離にNycodenzを用いたことである。Nycodenzは容易に連続密度勾配が作成でき、他のオルガネラの混入していない純粋で無傷プラスチドを単離できるという利点がある。これまで内膜構造がしっかり構築されていない葉緑体以外のプラスチドや変異体を単離することは困難とされていたがNycodenzを用いることで単離することに成功した。密度勾配遠心分離による各種のプラスチドを単離、プラスチドの可溶性タンパク質の抽出、二次元電気泳動によるタンパク質の分離、MALDI/TOFMSによりペプチド断片の質量を測定し、MASCOT Softwareでタンパク質を推定した。
クロロプラスト・エチオプラスト・クロモプラスト・apg3(albino or pale green mutant 3)・apg2のプラスチドに含まれるプラスチドタンパク質について報告する。