日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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種々の生物のゲノム配列は潜在的なオルガネラへの移行シグナル配列を含む
*堀 孝一関根 靖彦
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p. 759

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抄録
オルガネラ(色素体及びミトコンドリア)ゲノムDNAにコードされる遺伝子は80-200種類と非常に少ない。オルガネラで機能する多数のタンパク質遺伝子は核にコードされ、翻訳後、オルガネラへの移行シグナル配列によってオルガネラに輸送される。これらの核コード遺伝子の多くは、オルガネラの起源である細胞内共生バクテリアに由来すると考えられている。共生バクテリアの遺伝子が核に移り、産物がオルガネラで機能するためのハードルの一つはオルガネラへの移行シグナル配列の獲得であるが、その獲得機構の全体像はいまだ明らかではない。
本研究では、ゲノム中にはオルガネラへの移行シグナル配列となりうる可能性を持つ配列が潜在的に存在するのではないかと考え、7生物種の全ゲノム配列に対し、オルガネラへの移行シグナル配列の探索を行った。その結果、ゲノム中の非コード領域やコード領域の逆鎖において多数の移行シグナル配列候補が予測された。これらの配列のうちいくつかを、GFP遺伝子の上流につなぎ植物体において発現を行った結果、実際にこれらがオルガネラへの移行シグナル配列として働くことが示された。この結果は生物ゲノムは潜在的にオルガネラへの移行シグナルとなりうる配列を潜在的にコードしており、オルガネラ遺伝子は核へ転移した際に偶発的に移行シグナル配列を獲得した可能性を示唆する。
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© 2007 日本植物生理学会
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