日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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チューブリンねじれ変異株を用いたアラビドプシス植物体における微小管の構造・動態の観察
*石田 喬志橋本 隆
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p. 767

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抄録
植物細胞の極性伸長の制御には表層微小管が大きく関与している。これまで我々は細胞の伸長方向が異常になりねじれ形質を示すアラビドプシス変異株を42系統単離、解析し、チューブリン遺伝子の変異が原因であることを報告した。これらは全て微小管が変異型チューブリンを取り込み性質が変化してしまうドミナント型の変異であった。変異株では伸長領域において表層微小管が伸長軸と同じ方向に傾いており、表層微小管束の配向とねじれ形質との相関関係が強く示唆されている。
微小管構造は全ての真核生物でほぼ共通であり、αチューブリンとβチューブリンが安定なヘテロ二量体を形成し、これが縦につながった微小管原繊維が通常13本横に束ねられて中空の微小管となるとされる。しかし、in vitro重合系では12から17本の原繊維からなる微小管のバリエーションが生じると報告されている。原繊維が13本の時以外では微小管の軸に対してわずかにねじれた形態をとり、このねじれが最終的な配向に影響を与える可能性が示唆されている。本会では、透過式電子顕微鏡によってアラビドプシス植物体の微小管の原繊維構造を観察する技術を確立し、野生株・変異株における観察を行ったのでこれを報告する。
また、微小管を蛍光標識した観察系を用いて、変異型微小管の動態変化を観察し報告しているが今回新たに複数の変異株で異常な動態を観察したのでこれも併せて報告を行う予定である。
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© 2007 日本植物生理学会
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