日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコBY-2細胞におけるRNAiによるTMBP200の発現抑制がプロトプラスト由来細胞の伸長に及ぼす効果
*安原 裕紀
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p. 768

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抄録
タバコ培養細胞BY-2より単離されたTMBP200はアフリカツメガエのXMAP215やシロイヌナズのMOR1/GEM1をメンバーとする真核生物に高度に保存されたMAPsファミリーのメンバーである。シロイヌナズナの変異体の解析から、植物におけるこのMAPsファミリーは、細胞周期を通じて微小管配列の構築に関与することが明らかになってきたが、その詳細は十分には明らかにされていない。我々は、誘導転写系を用いてTMBP200に特異的な二本鎖RNAの転写誘導のためのコンストラクトを構築し、これをBY-2細胞に導入してTMBP200の発現抑制が可能な形質転換株を得ている。これらの株では、紡錘体やフラグモプラスト微小管の配列が大きく乱れ、有糸分裂、細胞質分裂が正常に行われなかった。一方、間期の細胞では、TMBP200の発現抑制により表層微小管の消失や断片化などの大きな異常は認められず、またTMBP200の欠乏下においても、表層微小管はプロピザミド処理による破壊から、その除去後に回復した。ところが、サイトカイニン処理によるプロトプラスト由来細胞の伸長系を用いて、細胞伸長に対するTMBP200の発現抑制の効果を調べたところ、TMBP200の欠乏は、伸長する細胞の割合を大きく低下させることが判った。この結果は、TMBP200が細胞伸長過程における表層微小管の配列変化に重要な役割を持つ可能性を示している。
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© 2007 日本植物生理学会
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