日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナHsfA2による標的遺伝子のHSE認識機構の解析
西澤 彩子*薮田 行哲吉田 絵梨子丸田 隆典吉村 和也重岡 成
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p. 777

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抄録
これまでに我々は、強光および酸化ストレス応答性の熱ショック転写因子(HsfA2)を同定した。HsfA2は強光だけでなく種々のストレスに応答することから、種々のストレス応答のシグナル伝達経路で機能することが示唆された。さらに、HsfA2過剰発現植物(35S::HsfA2)を用いてHsfA2標的遺伝子を同定したところ、いくつかのHSPやストレス防御遺伝子などがHsfA2により制御されていることが明らかとなった(Plant J, 2006)。そこで、強光および酸化ストレス条件下におけるHsfA2による下流遺伝子の発現制御機構を詳細に解析することを試みた。
HsfA2標的遺伝子について強光およびH2O2処理に対する応答を解析したところ、全ての遺伝子がHsfA2と同様に応答することが明らかとなった。また、これらの遺伝子のHsfA2ノックアウト株における強光応答性を解析した結果、野生株に比べ応答が抑制されることから、HsfA2に直接制御されることが示された。そこで、35S::HsfA2で最も誘導されていたHSP18.1-CIのプロモーター領域を用いたDual-luciferase assayによってHsfA2の認識配列を同定したところ、HsfA2はHSEを認識していることが明らかとなった。さらに、3つのHSEエレメントの必要性を検討したところ、HsfA2はいずれか1つのHSEのみで下流遺伝子の発現を制御できることを示した。現在、HsfA2による他の下流遺伝子の制御機構、さらには他のHSFのHSE認識機構についても検討中である。
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© 2007 日本植物生理学会
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