日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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根におけるセンス-アンチセンスCatB RNAの蓄積は地上部からのシグナルを必要とする
*岩本 政雄高野 誠肥後 健一
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p. 778

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抄録
イネ・カタラーゼ遺伝子CatBは根特異的発現を示すことがわかっている。地上部の光条件の変化によるCatBの根での発現について調べたところ、mRNAは暗黒条件下で減少し、代わりにスプライシングされていないセンス及びアンチセンス RNAが蓄積することがわかった。このセンス-アンチセンス CatB RNAは、地上部を取り除くと蓄積がみられなかった。また、イネを暗黒条件から明期と暗期が周期的に変わる明暗条件に移すと、センス-アンチセンス CatB RNAが減少し、CatB mRNAが増加することがわかった。これまでの結果から、地上部からのシグナルが根でのセンス-アンチセンス CatB RNAの蓄積に関与しているものと予想され、暗黒条件のような生育に適さない光環境下において、アンチセンスCatB RNAがセンスCatB RNAと2本鎖RNAを形成することにより、センスCatB RNAのプロセシングやその後に続くタンパク質合成が抑えられているものと推測される。地上部から根に伝達されるシグナルとして、オーキシンが候補の1つであることが示されたので報告する。
Iwamoto and Higo (2006) Gene 377: 186-194.
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© 2007 日本植物生理学会
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